お役立ちコラム

しみ抜きうんちく お勉強

しみを抜く前に、シミとは、染みとは、浸みとは、一体なんぞや! また、お客様とのやり取りがスムーズにできるようにするために、少しづつ業界用語をわかりやすく説明してみたいと思います。

知っておけば生活の中でもためになると思いますよ。不定期になると思いますが、よろしくおねがいします。

さて、それをするにあたって、私の大先生である「染織辞典」様のお力をお借りします。

しみ抜きうんちく

しみの種類 シミの種類

 【シミの種類】
● 油溶性のシミ
 ・ 石油系溶剤など油溶性の有機溶剤に溶ける。
 ・ 水に溶けない。
  (例)食用油,アイシャドウ,口紅,塗料など。
● 水溶性のシミ
 ・水に溶ける。
 ・有機溶剤に溶けない。
  (例)新しい食べこぼし。新しい血液など。
●化学的手段を要するシミ
 ・有機溶剤にも水にも溶けない。
・化学薬品で溶けるか、漂白できる。
 (例)鉄さび,緑青,古くなって酸化,変色したシミなど
●不溶性のシミ
 水,有機溶剤,化学薬品に溶けない,漂白できない
界面活性剤、他である程度除去できる。
 上記以外のもの、スス、スミ、ドロはねなど。

■油溶性シミの代表例
ボールペン ・マジックインキ ・朱肉 ・カーボンペーパー ・アイライン ・アイシャドウ ・マーガリン ・バター ・食用油 ・クレパス、クレヨン ・色鉛筆 ・マニュキア ・口紅
■水溶性のシミ代表例
・お酒 ・ビール ・付いて間がない汗 ・付いて間がない血・付いて間がない水気の食べこぼし
■酵素による処理が必要なシミの代表例
・日が経って固まった血液・日が経って固まった牛乳、母乳 ・日が経って固まった魚の汁
●不溶性のシミ
 水,有機溶剤,化学薬品に溶けない,漂白できない
界面活性剤、他である程度除去できる。
 上記以外のもの     スス,スミ,ドロはねなど。

シミ抜きの歴史

我国における営業的な洗濯業としては室町時代(1338年~1573年)に京都で紺染屋を営む職人が副業として洗い張りを行ったものが最初とされている。
 これが専業となったのは江戸時代の中期,元禄から享保(1686年~1736年)にかけてであり,京都では紺染屋から分離した「洗い物屋」,江戸では「洗濯屋」であった。
 この京都における洗い物屋が絹物,麻物などの高級品を主として取扱い,高度なシミ抜き技術を発達させ,やがて同業組合を作って収益を守るようになっていった。
 シミ抜き剤としては鷺の糞,大根の汁,洗剤としてはわら灰の灰汁米のとぎ汁,ムクロジの果実,サイカチのさやなどを使い,仕上げはひめ糊を使っての張り仕上げを行っていた。
 明治時代になると洗い張りとクリーニングを兼業した業者が数多く出現した。
 しかし,京都などで長年の修業を積んだ通称「シミ抜き屋」と呼ばれる職人の数は少なかった。彼等は主として呉服や京染めなどの取り次ぎを業とする悉皆屋を相手に和服や京染め反物などのシミ抜きを専門としクリーニング店からも時々仕事を持ち込まれた。
 現在はスチームスポッター,超音波シミ抜き機,ジェットスポッターなどの機械や高性能洗剤・特殊シミ抜き剤,酵素など各種資材等の発達により誰もが簡単で効率的にシミ抜き作業を行うことが可能になっている。

ムクロジ

サイカチ サポニン


■ 素材の鑑別

シミ抜き剤,薬品などを選定するには生地に対する安全性を考慮しなければならず,繊維素材の鑑別が必要となる。

● 繊維の鑑別

 現場においては,つぎに示す方法で繊維の鑑別を行う。
1.燃焼による方法
2.顕微鏡による方法
3.試薬(溶解性)による方法

● 燃焼による鑑別

・ 非常に手軽な方法であるが混紡品,特殊加工品には不適当である。
・ タテ,ヨコ糸を別々に数本を2cm程度採取し,ピンセットに挟んで静かに炎に近づける。炎はマッチ,ライター,アルコールランプなどの火が利用できる。炎に近づけたときの火の移り方,準え方,煙の色,臭,残留物(灰または塊の色,形,硬さ)などを観察し,総合的に判定する。ただし,燃焼ガスが有毒なものもあるので臭いのテストは簡単にすること。

■ 素材の鑑別

シミ抜き剤,薬品などを選定するには生地に対する安全性を考慮しなければならず,繊維素材の鑑別が必要となる。

● 繊維の鑑別

 現場においては,つぎに示す方法で繊維の鑑別を行う。
1.燃焼による方法
2.顕微鏡による方法
3.試薬(溶解性)による方法

● 燃焼による鑑別

 非常に手軽な方法であるが混紡品,特殊加工品には不適当である。
 タテ,ヨコ糸を別々に数本を2cm程度採取し,ピンセットに挟んで静かに炎に近づける。炎はマッチ,ライター,アルコールランプなどの火が利用できる。炎に近づけたときの火の移り方,準え方,煙の色,臭,残留物(灰または塊の色,形,硬さ)などを観察し,総合的に判定する。ただし,燃焼ガスが有毒なものもあるので臭いのテストは簡単にすること。

 燃焼による鑑別法の一覧表を示す 
 繊維名   燃え方      臭   灰の様子
綿・麻   容易に燃え,速やかに燃え続ける。  紙の燃える臭い 少量の柔らかい灰色の灰を残す 
絹・毛  溶けるように,炎から離れ,じりじりと緩やかに燃える 毛髪の燃える臭い   黒色のふくれ上ったもろい灰を残す
レーヨン
ポリノジック
キュプラ 
容易に燃え,速やかに燃え続ける 紙の燃える臭い  少量の柔らかい白色の灰を残す
アセテート
トリアセテート
溶融しながら燃え続ける
すっぱい臭い   黒色のやや硬い,もろい不規則な形の塊を残す
プロミックス 収縮しながら炎を上げて燃える するめ焼臭  黒色のややもろい塊を残す
ナイロン  溶融しながら徐々に燃える 特異臭  硬い明褐色のガラス様の塊を残す。熱いうちに引き伸ばすと糸状となる
ポリエステル 溶融しながら,ススの多い煙を出して燃える 芳香臭   硬い黒褐色のガラス様の魂を残す。熱いうちに引き伸ばすと糸状となる
ベンゾェート 溶融しながら黒煙を上げて燃える かすかな芳香臭  硬い黒褐色の魂
アクリル 縮み,溶けながら燃える 特異臭(猛毒)   不規則な形の黒い塊を残す
アクリル系 収縮して炎から離れ,燃えにくい 特異臭(有毒)  不規則な形の黒い塊を残す  
ビニロン 収縮しながら徐々に燃える 甘い特有の臭い  硬い黒褐色の不規則な形の塊を残す
ポリエチレン
ポリプロピレン
溶融しながら徐々に燃える
 
パラフィン臭  燃え残りの部分は透明で球状となる
ポリ塩化ビニル 燃え難く,収縮して炎から離れる
刺激性のある特有の臭い(有毒)   不規則な形の黒い塊を残す
ポリクラール 燃え難く,収縮して塊となる ポリ塩化ビニルに似た弱い刺激臭(有毒)   黒くまわりに褐色の塊を残す 
ポリウレタン 溶融しながら燃え,炎から離すと燃え続きにくい かすかな特異臭  粘着性を有するゴム状の塊となる 
(注)万能pH(ペーハー)試験紙を水にぬらして煙にあて,煙が酸性かアルカリ性かを判別して鑑別の補助とすることができる。
酸性:
 綿,麻,レーヨン,ポリノジック,キュプラ,アセテート,トリアセテート,ビニロン,ポリ塩化ビニル,ポリエステル,アクリル
アルカリ性:
 絹,毛,ナイロン

一般的なシミ抜応急手当

 家庭におけるシミ抜き法
シミの種類 応急手当 しみのとり方
ソース
しょうゆ
水でしぼったハンカチか
懐紙でつまみとっておく
水で絞った布でたたく。
●洗剤液でとる。●白物は漂白
果 汁 上に同じ 水洗い。中性洗剤または酢酸でとる
茶・コーヒー 上に同じ 上に同じ
洒・ビール 水でしぼった布でたたく ●ぬるま湯で絞った布でたたく ●中性洗剤でとる。古いものは酢酸かアルコールセとる
青インキ 布でつまみとっておき早 く手当をする 中性洗剤でとる。酢酸で処理してからアンモニア液でとるか,白物は漂白剤を使う
赤インキ 上に同じ 中性洗剤でとる。酢酸かアルコールでとる
墨 汁 布でつまみとっておき
早く手当をする
ご飯粒に洗剤をまぜたもので繰返しもみ出す
印 肉 そのままにしておく ベンジンでとる。 中性洗剤でとる
コールタール そのままにしておく シンナーでもみ出す(アセテー トは使用不可) 中性洗剤でとる
自動車油 乾いた布でおさえて吸いとる ベンジンを含ませた布でたたく。中性洗剤を含ませた布でもみとる
接着剤 そのままにしておく 除光液を含ませた布でもみとる。 (アセテートには使用不可)
ペンキ そのままにしておく シンナーでもみ出す
クレヨン そのままにしておく ベンジンでとる。中性洗剤でとる
チューインガム 氷でひやしてかためて,出来るだけはがしとっておく シンナーか除光液でもみ出す
(シンナー・除光液は,アセテートには使用不可)
水でゆるく絞った布でたたく ぬるま湯ででたく、アンモニア液でとる、白物は漂白する

一般受け和服・洋服 しみ抜き専門店 ひな屋

業者受けB to B (有)美絹糸院